キングスマン:ファースト・エージェント

鑑賞日:2021年12月28日(火)

映画館:ワンダーアティックシネマ(1,200円)

パンフ:購入(880円)

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以下ネタバレあり

・今年最後にして最高

 現代じゃないから、ワクワクスパイガジェットは出てこないだろうし、バッキバキの色使いもできないけど、音楽に合わせたアクション、カメラ使い(最後の決闘で剣の鍔?にカメラつけてるとことか最高!)は健在。アガる。

 

・父と子の愛情(そしてキングスマン誕生)

 父親と子が、お互いをあんなに尊重し、尊敬していることが羨ましい。それぞれがそれぞれの安全を祈り、幸せを願うことって愛し愛されることの基本だと思う。それがあの二人からひしひしと感じられるし、でも別人格であるという尊重も忘れない。物語やアクションも最高だけど、この二人の親子愛の美しさが一番じゃないだろうか。

 母親も軸になっているでしょう。愛する者を失くした故のキングスマン発足。世界平和を目的にと言っているけど、起源は個人の愛情・願望っていうの、すごくしっくりくる。

 

ラスプーチン最高!

 勢いよくゲロを吐く映画はいい映画、という話を聞いたことがあるけど、当てはまるじゃん!子供で誘惑しようとしたのに、父親が誘われてて「そっち!?」と世界が総ツッコミしたのを感じました。足をペロペロされてて「これは何を見させられてるんだ・・・(最高)」からの、キレッキレのアクション(最高)。ラスプーチンのコサックやバレーダンスは、正しい表現かわからないけど、ロシア訛りがきいたアクション。(ロシア人いつも悪役でコサックやらバレーやらネタにされて可哀想って思ったけど、日本人も忍者・侍・芸者・日本兵で悪役になってるわな)

 

・でもやっぱり「イギリスが悪い」んじゃね?

 父は、過去イギリスの貴族が搾取により勢力を拡大し、自らの戦争体験も相まって、持つものが持たざるものを救済することは貴族の義務(冒頭で母ちゃんも言ってる)、ということで平和主義を貫いている。

 しかし、今回の黒幕は連合王国に虐げられたアイルランド出身の犯人で、戦争回避も自ら蒔いた火種をヒーヒー言って回収しているだけじゃないか?と少し思ってしまう。

 

・黒幕の存在が戦争の発端であるかのように描いて良いのか?

 もちろんフィクションなので、史実に色を付けて「実はこの歴史的な事件の裏には黒幕がいたのです!」というような陰謀論を物語の軸に据えるということは、至極当然なことだと思います。

 しかし、こと多くの人が犠牲になった事件・戦争などが扱われる際、その責任や原因を矮小化しているのではないかと批判を浴びそうな気がする。実際には、「犯人」の帝国主義的信念や利己的行動などのせいで、個人の自由や人権を著しく侵害してきたのに、実は「黒幕」なる存在がおり、その「黒幕」に先導された「犯人」は免罪される余地があるのでは?と捉えられたりしないのか(特に日本とかの場合)。

 一方で、戦争のような、不特定多数の人が望む望まざるに関わらず巻き込まれているものや、原因が輻輳して一言では片付けられない場合など、「こういう解釈もできるよね」といった、別のアンサーを示すようなフィクションを作ることも許されるのだろうか・・・。

 個人的には、今回のキングスマンでの第一次世界大戦の発端、そして第二次世界大戦を予感させるエンディングについては、エンタメとして非常に楽しめました。世代もぜんぜん違うし、当事者でもないからでしょうか。

 そもそも、キングスマンはコミック原作だし、そのコミック界隈の流儀と言うか雰囲気はわかりません。もしかしたら(戦争の裏で活躍・暗躍する存在を描くことは)普通のことなのかもしれない。